①「変わっていないのに、違う」という違和感
新型RAV4を見て、
「随分変わったな」と感じた人は多いと思う。
ところが、諸元表を並べてみると少し拍子抜けする。
全長も、全幅も、ホイールベースも、5代目から大きくは変わっていない。
タイヤ外径や最低地上高まで含めれば、なおさらだ。
それでも実車を見ると、やはり「別のクルマ」に見える。
この“変わっていないのに違う”という違和感こそが、
6代目RAV4を理解するための出発点になる。
数値では説明できないこの差は、単なる進化ではなく、
**RAV4が選んだ「方向転換」**の結果だ。
では、その方向転換は、私たちの使い方をどう変えたのだろうか。
新旧RAV4諸元表
| 項目 | 6th RAV4 | 5th RAV4 |
| 全長 | 4600mm | 4600mm |
| 全幅 | 1855mm | 1855mm |
| 全高 | 1680mm | 1685mm |
| ホイールベース | 2690mm | 2690mm |
| 最低地上高 | 190mm | 190mm |
| タイヤサイズ | 235/60R18 | 225/65R17 |
| タイヤサイズ外径 | 739.2mm | 724.3mm |
| 室内長 | 1880mm | 1890mm |
| 室内幅 | 1525mm | 1515mm |
| 室内高 | 1220mm | 1230mm |
| 荷室容量(VDA)5名乗車時 | ー | 542L |
| 荷室容量(VDA)2名乗車時 | 705L | ー |
| 荷室長(4名乗車) | 961mm | 1015mm |
| 荷室長(2名乗車) | 1806mm | 1880mm |
| 荷室最小幅 | 1002mm | 1000mm |
| 荷室最大幅 | 1386mm | 1355mm |
| 荷室高 モード1 | 847mm | 880mm |
| 荷室高 モード2 | 933mm | 935mm |
| アプローチアングル | 19° | 19° |
| デパーチャーアングル | 23° | 21° |
② Areneが変えたのは「性能」ではなく「使われ方」
その答えは、エンジン性能やサイズの違いではない。
6代目RAV4が重視したのは、走りの性能ではなく、使われ方そのものだった。
その中核にあるのが、Arene(アリーン)というソフトウェア基盤だ。
Areneは「クルマを賢くする技術」ではない。
使う人が、賢くなったと感じられるための基盤である。
例えば、寒い朝。
これまでならエンジンをかけ、寒さを感じ、シートヒーターのボタンを探す。
Arene世代のRAV4は違う。
気温や過去の使用傾向から、「今日は必要だろう」とクルマが判断する。
結果として、ボタンを押さなくても快適な状態が整う。
機能が増えたのではない。
操作が消えているのだ。
この変化は、クルマに詳しくない人ほど価値を感じやすい。
説明書を読まなくても、操作を覚えなくても、「いつもの感じ」で使えてしまう。
5代目RAV4が「ちゃんと使えば応えてくれる」クルマだったとすれば、
6代目RAV4は「気を遣わなくても、うまくやってくれる」クルマだ。
スペック表には現れないが、毎日の使い心地には確実に効いてくる。

③ 同じ骨格で、違う方向を向いたRAV4
6代目RAV4のもう一つの重要なポイントは、
骨格そのものはほとんど変わっていないという事実だ。
TNGAプラットフォーム、ボディサイズ、ホイールベース、
タイヤ外径に至るまで、5代目と6代目は驚くほど共通点が多い。
これは偶然ではない。
このサイズ、このパッケージが、すでに世界で通用する答えだったからだ。
トヨタは、無理に大きくもせず、無理にキャラクターも塗り替えなかった。
進化のために、あえて変えなかったとも言える。
では、何を変えたのか。
答えはシンプルだ。
クルマとしての向きである。
5代目RAV4は、都会でも映える洗練性と合理性を重視していた。
一方で6代目RAV4は、郊外やアウトドア、
“雑に使われる”シーンを最初から肯定している。
同じ骨格でも、育ち方が違えば性格は変わる。
5代目はスマートでストイック。
6代目はラギットでギーク。
どちらが正しい、という話ではない。
選んだ価値観が違うだけだ。

最終章|だから6代目RAV4は“誰向け”なのか
6代目RAV4は、分かりやすいスペック進化を選ばなかった。
その代わりに選んだのが、
考えなくていい体験を積み重ねることだった。
6代目RAV4が向いているのは、
- 操作を覚えたくない人
- クルマに気を遣いたくない人
- タフな見た目と、賢い中身の両立を求める人
つまり、賢く使いたい人だ。
一方で、
自分で操作し、使いこなす感覚を楽しみたい人には、
5代目RAV4の方がしっくり来る場合もある。
6代目RAV4は、すべての人にとっての正解ではない。
だが、今の時代において、とても誠実な選択をしたクルマだ。
進化ではない。正解でもない。
方向転換であり、選択。
同じ骨格で、違う育ち方をしたRAV4。
それが、5代目と6代目の本質的な違いである。


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